父親の大石正恒は鍼灸界の風雲児ならぬ「ひょう」をふらす雹雲児?だ。そんな言葉はないけれど、カッコイイ風雲児とは違って、問題を起こすひょう=雹が似合っている。
特許をとった「高感度虚実判別棒」と「全身マップ」はどちらも、古代中国で生まれた鍼灸の長い歴史を覆すようなものだ。お箸の先に張り付けた銅粒と亜鉛粒を人体にあてながら脈を診ながら、全身に縦横のラインを見つけ出し、千以上の治療点の相互の関連を法則づけた。
父は今「夢のお告げであの人の治療点が降ってきた」などと言うことがあるが、判別棒と全身マップもどこからか降ってきたに違いない。これらを発見した時点で父自身は「震えが走った」というが、鍼灸の学会で発表すると、拒絶と非難と馬鹿にされることだけが待っていたようだ。まさに鍼灸界に氷のような寒い話題を降らし、ついに学会を飛び出したという。
こんな「変人」は、見ていると面白いが、その家族は本当に苦労する。一番苦労したのはやはり母だった。そんな母の思い出も次に語っていこう。
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